【会計士が教える】「簿記3級」が重要な理由と勉強のポイント

登場人物紹介
千夏(ちなつ)
広告代理店で働くスーパー営業OL。人懐っこさと瞬発力で売上を伸ばす天才肌。真面目で努力家。最近、簿記3級の勉強を始めた。
元治 さとし(わたし)
元・監査法人勤務の会計士。現在はM&Aアドバイザリー業務を行う。営業トークや雑談はちょっと苦手。大学時代の同期の千夏から簿記に関する質問を受けている。

今年も部内ダントツの営業成績を収めました〜!!!

おめでとう〜!夏のボーナスのインセンティブすごいんじゃない?

かなり期待できる笑
会社全体の業績も良いから、業績連動と個人成績連動のダブルですわ〜!

私もインセンティブもらえるように、営業も頑張らないと。。。

会営業は気持ちと数よ!さとしはもっと前向きに頑張れ笑
私はもう少し会計について勉強しないと、これからが大変かな〜
簿記3級を取ろうと思うんだけど、どうかな〜??

いいと思う!営業力があって数字も理解できたら、キャリアアップ間違いないよ!
簿記3級の取得を目指す人向けにポイントを整理したよ!
目次
- 簿記3級こそ、丁寧に取り組むべし
- 最初は徹底的に理解する。暗記は後で。
- 簿記試験受験生が陥りがちな罠
1.簿記3級こそ、丁寧に取り組むべし
簿記3級は、簿記という仕組み全体の“総論”と、いくつかの“基本的な個別論点”で構成されています。
この「総論」とは、資産・負債・資本・収益・費用といった基本的な5つの区分や、取引の仕訳、試算表の考え方など、すべての会計処理の土台になる部分を指します。
一方で、簿記2級・1級、あるいは公認会計士試験では、“個別論点”がより専門的・複雑に展開されていきます。
つまり、難易度が上がるというよりは、「総論の上に多くの個別論点が重なっていく」というイメージです。
だからこそ、最初に学ぶ簿記3級で“総論をどれだけ理解できたか”が、その後の学習・実務を大きく左右します。
仮に暗記ベースで3級に合格できたとしても、土台が不十分なままでは、2級以降で必ずつまずきますし、実務でも数字の意味が読み取れずに形だけの処理に陥りがちです。
簿記1級や2級の合格に苦戦する人の多くは「総論」の理解を蔑ろにしている人が多いと感じます。
逆に、簿記3級の段階で「なぜこの仕訳になるのか」「どの要素が動いているのか」を自分の言葉で説明できるレベルまで理解していれば、上位資格の習得はもちろん、経理・会計業務に限らず、営業・管理・経営などあらゆる実務でも“使える知識”として活かされていきます。
だからこそ、3級は“通過点”ではなく“土台作りの場”として、総論の理解を徹底的に固める姿勢が何より大切なのです。

なるほど、簿記3級舐めてたは笑
でも、総論の理解がしっかりできたら、あとはカンタンそうね!
✅ まとめ
- 簿記3級は「簿記の総論」を学ぶ最も重要なステージ
- 総論の理解なしに暗記で合格しても、上位資格や実務で必ずつまずく
- 将来のために、簿記3級の時点で“なぜ”を理解する姿勢がカギ
2.最初は徹底的に理解する。暗記は後で。
簿記の勉強を始めると、多くの人が「まず1週間でテキスト1周しよう」と計画を立てます。
でも、それはおすすめしません。理由は単純で、「理解できていない本を早く読むことはできない」からです。
簿記は“全く新しい言語体系”です。
資産・負債・仕訳・試算表…聞き慣れない用語に、ルールがいくつも乗ってくる。
そんな中で、初回からスラスラ進めるわけがないんです。
テキスト1ページを理解するのに10分かかることがあっても自然です。
ここでやるべきことは、「暗記」ではなく「理解」です。
この仕訳はなぜこうなるのか?どうして借方・貸方に振り分けられるのか?
それを一つずつ納得しながら進めていくのが、最初の段階。
この段階では、テキストにどんどん線を引いたり、メモを書いたりして、“自分の理解の跡”を残すのがとても効果的です。
忘れてもいい。あとで見返したときに、すぐ思い出せるような形にしておくことが大事です。
この“理解の跡”が、2周目以降のあなたの最強の味方になります。
2周目、3周目と読むごとに「あれ?ここ、前も悩んだ気がする」「今なら分かる気がする」と、読むスピードも、頭に入る量もどんどん変わっていきます。
実際、簿記の勉強はこう進みます:
- 1周目:理解9・暗記1(たっぷり時間を使う)
- 2周目:理解7・暗記3(少し記憶が残っていて、前より早く進める)
- 3周目:理解5・暗記5(意味と記憶がちょうど半々、問題も少しずつ解ける)
- 4周目:理解3・暗記7(スラスラ読める箇所が増え、苦手だけ対策)
- 5周目:理解1・暗記9(1日でテキスト1冊をざっと読み返せるレベル)
このように、理解をベースに繰り返せば、暗記は“勝手についてくるんです。
焦って一気に覚えようとせず、「理解する→思い出せるようにしておく→自然と覚える」この流れを意識してください。
そして何より大事なのは、「忘れることを恐れない」こと。
忘れるのは当たり前です。むしろ、忘れる前提で仕組みを作っておけば、それがあとで“思い出すきっかけ”になります。
「思い出せる形で理解しておく」。それが、簿記3級を超えて、2級・実務・資格試験すべてに通用する“本当の勉強力”になります。

最初は理解に徹することで、ガンガン忘れよう!!!
✅ まとめ
- 理解に時間がかかるのは当たり前。1周目から早く読もうとしない
- 自分の理解をテキストにメモ・線で残すと、あとで暗記が楽になる
- 忘れても大丈夫。思い出す設計をしておけば、記憶は自然に定着する
3.簿記試験受験生が陥りがちな罠
簿記や会計士試験の勉強を見ていると、必ずと言っていいほど“努力しているのに受からない人がいます。
その多くに共通するのが、「手段が目的化している」ということです。
たとえば、ノートづくり。
色ペンを使い、要点をまとめ、表や図を描いて…本人は「こんなに勉強してる」と思っている。
でも実際には、ノートをまとめただけで頭に入っていない。
実際に私は、毎回ノートを完璧にまとめながら何度も試験に落ちている人を見てきました。
一方で、テキストの余白に軽くメモする程度で、ひたすら問題を解き、理解を重視する人はあっさり合格していきます。
ノートを“きれいに作る”ことではなく、“頭の中に地図を作る”ことが勉強の本質なのです。
簿記試験に合格するために必要なことは基本的にテキストに全て記載されています。

ノートを取ることに時間はかけず、理解に時間をかけましょう!
もう一つは、生活スタイルに関する誤解です。
「規則正しい生活をしていれば、勉強もうまくいくはず」
そう信じて、毎日7時間寝て、朝は散歩して、1日3食自炊して…
それでいて勉強時間は1日1〜2時間。
結果は当然ながら、何度受けても不合格です。
一方で、夜型で昼夜逆転、外食オンリー、生活は崩壊寸前でも毎日8〜10時間勉強する人が受かっていきます。
私自身、そういう人をたくさん見てきました。
結局、試験に合格する人の共通点はただひとつ、
「合格のために時間をかけ、徹底的に理解したかどうか」です。
試験合格に自分の時間を使い、その他の要素は捨てる。人として素晴らしい行動でも徹底して捨てることが簿記試験の合格に必要なことです。
生活が整っているか、ノートが美しいか、そういうことは本質ではありません。
大切なのは、“合格に直結する行動”に時間と集中を注ぎ込めたかどうかです。
✅ まとめ
- ノート作りや生活習慣が合格を保証するわけではない。大事なのは理解と記憶
- 合格する人は、見た目やスタイルより「勉強にどれだけ時間をかけたか」が違う
- 試験合格の本質は、“徹底した理解”と“圧倒的な学習時間”に尽きる
全体のまとめ
簿記3級は、単なる“初歩の資格”ではありません。
ここで学ぶ「総論」は、簿記2級・1級、さらには公認会計士試験や実務のすべての土台になります。
暗記で偶然合格しても、理解がなければその先に進めず、実務にも活かせません。
だからこそ、最初の勉強は“理解重視”で進めることが大切です。
テキスト1周目は「読むのが遅くて当たり前」。忘れても構わない。
自分の理解をメモや線で残しながら、少しずつ知識を積み上げていく――その積み重ねこそが、最短ルートになります。
そして、ある程度理解できたら、あとは繰り返して定着させるだけ。
1冊のテキストを何周も回すことで、知識が“自分の言葉”になり、問題を見た瞬間に手が動くようになります。
大切なのは、「生活を整えること」でも「ノートをきれいに作ること」でもありません。
試験合格に必要なのは、ただひとつ。
「徹底した理解」と「圧倒的な学習時間」です。
シンプルだけど、それが一番確実な道。
合格する人は、そこから逃げなかった人です。
以上が、簿記3級合格に向けた「本当に大切なこと」です。
自分のやり方に自信が持てないときは、ぜひこの原則に立ち返ってみてください。
がんばる方向さえ間違えなければ、簿記3級は必ず受かる資格です。あなたも、きっと大丈夫です

私も理解を重視しながら、可能な限り簿記の勉強ができるように工夫するわ!

簿記のことならいつでも聞いてね!